(余談)東大受験指導専門塾 鉄緑会
今回は少し脱線します。
中学受験を終えた息子が鉄緑会の選抜試験を受けたいといってきました。勉強をつづけたいという心意気やよし。そこで、2月某日に息子は試験を受けに行き、私たちは入会説明会に行ってきました。そこでは、すごい世界が待っていました。
後日、息子は選抜試験に不合格だった通知がきました。(残念・・・)
先生の説明
統括部長・教科主任から説明をいただきました。それはもう立て板に水のごとく、無駄のないことば・ロジックを駆使した、スラスラと流れるパーフェクトな説明でした。
- 親の想い
子どもの中学受験に対する親の想いへの問いかけから始まりました。中高一貫校の行事・イベントを通じた人間形成と、高校受験がない中での大学受験に向けたしっかりとした学力形成の2つにありますよね、との問いかけは親の想いを代弁するものでした。
- データで裏付けられた落とし穴
人間形成は中高一貫校のメリットとし、先生(開成・筑駒出身)にもその実感があることを述べました。つぎに話が学力形成に移りました。ここからが本領発揮です。
開成・筑駒生徒であっても現役東大合格率が30%であることをデータで示します。その理由として、中高一貫校であることのデメリット、つまり6年という長い期間がゆえにモチベーションが続かない点を指摘します。
また東大受験の難しさも加えます。理IIIですら65%の得点率が必要、他も55~60%が必要という事実を示します。その上で英語の過去問を見せ、親でもまったく歯が立たないほどの難しさを語ります。
- ソリューション
親の想い(人間・学力形成)に寄り添いながらも、学力形成の落とし穴(リスク)を具体的なデータ・例で示しました。親はここであせります。そこで、出てくるのが鉄緑会のソリューション。それは、「環境」と「メソッド」です。
「環境」は同じレベルの優秀なライバル(戦友といえる)と切磋琢磨しながら学べること。先生(鉄緑会出身)が生徒のためなら居残りもいとわず熱く指導すること。この2点を挙げていました。
「メソッド」は教科ごとに詳細に説明していました。
(1)数学
1年目で中学数学をマスターします。たった1年です。学校よりも少ない時間、短い期間でなぜこれができるのか。そのカラクリは、徹底的にムダをはぶく(中学数学のカリキュラムは余分なものが多い)、問題を反復練習する、この2点でした。
2年目以降は高校数学をあつかい、らせん階段(同じことを何度も、さまざまな角度から少しずつ難しくなるように学ぶ)を上るように習得していくとのこと。らせん階段は四谷大塚でも実践されていたので、実感がわきました。
(2)英語
授業の2/3はスピーキングの学習にあて、英語を体で学ぶとのことでした。これは、翻訳に重きをおいた(親世代の)従来の学習と異なるものです。数年前に、カリキュラムを抜本的に見直したようです。
(3)その他
数学・英語でアドバンテージをとることができると、それ以外の教科は仮にビハインドしてもあとから挽回できるとのこと。また数学・英語について、学校は塾の復習の場であるとも断言されていました。
すごいの一言です。この提案を受けたら鉄緑会に入りたくなりますよね(笑)。もうコンサルといっていいと思います。
パンフレット
入会説明会では説明しきれない、鉄緑会の考えがパンフレットには表れていたので、ここで簡単に紹介します。
- 国語
究極的には解答者の人間的な深みを見るもの。ただし受験国語では特有の方法論を身に付けることで得点力を増すことができる。
- 理科
大きく得点差のつく教科で、浅薄な理解では手も足もでない。しかし数学・英語に比べると学ぶべき内容はわずか。集中学習で効率的に対策を完結できる。
- 社会
知識の多寡を競うものではなく、流れや背景、相互関係等についての深い理解を本格的な論述で試すもの。入試分析と添削指導で万全の対策をする。
「人間的な深み」「学ぶべき内容はわずか」「知識の多寡を競うものではない」、これらの力強いことばを駆使しています。的を射ており、「うんうん」とうなずけるものが多く、さすが鉄緑会と思います。
鉄緑会は実績(これまでの東大合格者数)に裏付けられた自信にあふれていますね(笑)。
その他
英単語熟語を学ぶ教材の名前が「鉄壁」でした。鉄ということば(が示唆するイメージ)に想いがあるのだと推察しました。
また、鉄緑会OB/OGのつながりも深いようです。先生がOB/OGと会食をしたり、OB/OGをまねいて現役生徒に話をしたり。